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アラトは別の部屋で、使用人から怪物についての話を聞いていた。
どれもこれも驚愕の話で、アラトには辛い世界になってしまった。


「闇を溜めると怪物になる……?」
「はい……」
「どういうことなんですか?」
「詳しくはわかっていません……。ただ、マフユさんの調査によると、アラト様やマフユ様、その他、異世界からきた者たちにとってこの世界での生活は闇を溜めやすいようです……」

少しは希望をもって、いつか目覚めると信じてアラトはスタートを切ったつもりだった。だが、確かにそういう事実を突きつけられてしまうと病んでしまう気がした。

「シロキはずっと頑張ってたんですね……」
「マフユ様がこの国に来た時、まだ幼かった気がします。それがあんなに強く成長されて……」
「なら俺は負けてられないですね……。怪物にならない為に、前向きに……きっと、闇を溜めこむことだけが原因じゃないはずです」
「アラト様……」
「俺のガラス玉がこいつになったのにも理由があるはずですし……」

竜を優しく撫で、アラトは改めて決意を固めた目で、部屋から見えたオレンジ色の空を見上げた。