マフユは城の騎士団に入り、戦いの仕方を身に着けた後に、王室研究団が開発に成功した、心を読み相手に合わせ、形状を変える「ガラス玉」と、元々その国では出回っていた「簡易型倉庫兼通信機器」を王女から受け取った。
そこからやっと、この世界で生きていく覚悟を決め、王女の依頼を受け、国から報酬をもらい、ずっと戦い続けてきたのだ。

「カックラッチは、私と同時にでた他ギルドの女性でした……」
「闇に飲まれてしまったか……」
「死ぬ気で行きたい。と私に言ってたので、いつ死ぬかわからないこの世界に絶望していたと思います。完全に闇に飲まれていたかは分かりません」
「もうだいぶわかってきただろう。マフユ……」
「……そう……ですね……」

マフユが王女にするこの報告は、本来、怪物を討伐した報告ではなく、その怪物の調査報告だった。マフユは怪物がでる度にでていき、倒し、ドロップした武器から持ち主を割り出し、その多くが病気を発症しここにきた人間であることがわかっていた。今日は怪物に変わるその瞬間を目の当たりにしたことで確信した。