「ううん、急なお誘いに来てくれただけで十分だよ。それに一昨日もうちに来る為に早く帰って来てくれたんだし」

「総会も無事に終わったし、今は割りと早く帰れるのよ。今日はちょっと帰り際に書類を出してくれって言われただけ」

「そんなものなの?秘書課はいつも帰りが遅いイメージだわ」

息を整える由紀ちゃんにお水を渡しながら、ひよりちゃんが驚く。
そんなひよりちゃん自身はお父さんの会計事務所を手伝っているから、繁忙期以外は自由に調整出来るみたい。

「重役付きの秘書はそうかな。でも私はまだグループ秘書で、更に下っ端だからね。だいたい入社して1年半経ってないんだもん、柚珠奈も自分じゃないとって程の仕事はまだ任されてないでしょ?」

「そうだね。まだまだ教えてもらう事ばっかり」

「ま、そうだよね。でもさ、理一君は部長さんなわけじゃない?数日前言い出した合コンの為に早く帰れたの?」

「うん、私より早く退社してた」

「本当に!?理一君、どれだけ準備万端なのよ」