「おはよう。いつもより早いね」

午前九時、お家を訪問してするのに失礼じゃないギリギリの早さで、私は樹くんの部屋のチャイムを鳴らした。

「おはよう。早くにごめんね、ちょっと色々あって」

もごもごと言い訳する私に、樹くんはニッコリと微笑んでくれる。

「全然。俺も話したい事あったから嬉しいよ」

そのまま、いつものようにソファに座ってキッチンに立つ樹くんを眺める。自分のコーヒーと私のカフェオレをいつも通り、無駄のない動きで用意してくれた。

「まずは柚珠奈の話から聞こうかな。昨日、聞かなくてごめんね」

「ううん、急に言い出したんだし。樹くんだって予定あって当然だよ」

「本当は柚珠奈を優先したかったんだけど。早く手を打たないと手遅れになると困ると思ってさ」

「手を打つ‥‥‥？」

昨日も聞いた言葉だ。合コンの後に理一くんが言ってたって‥‥‥。

「あっ！」