*夏音side* ―…カラン― 「ほ?!…本格的に料理修行がしたい~?!」 グラスの中で氷がひと躍りしたと同時に藤枝さんの切れ長の目が大きく見開かれた。 「うん。…俺、マスターの右腕になりたい。…仕込みだけじゃなくて、ちゃんとしたシェフになりたい!」 真剣な幾斗の表情と言葉に驚き、在庫管理のバインダーを抱き締めながら後退りする藤枝さん。 そしてまた更に距離を詰める幾斗。 私はカウンター席の一番厨房に近い位置の席に座り二人の様子を伺いつつ、藤枝さんの返答を待つ。