橋を渡りきって商店街に入るとすぐ、シルディーヌは人の多さに目を瞠った。

二頭立ての馬車が二台並んで通れるほど広い道なのに、まっすぐ歩くことができない。

みんな縦横無尽に動くため、ぼんやりしているとぶつかってしまいそうになる。

まるで王都中の人がここに集まっているかのようで、余裕で歩けるサンクスレッドの繁華街など比ではない。

確かに王都をなめていたと反省し、アルフレッドの腕を強く掴みなおした。

最初は気をつけて歩いていたシルディーヌだったが、アルフレッドの強いリードによって歩き慣れてくると、次第に商店街のきらめきに夢中になる。

どうにも、わくわくする気持ちを押さえられなくなってきた。

だって、道の両側にお店があるのは勿論だが、真ん中にも小さな店が並んでいるのだ。


「アルフ見て!たくさん露店があるわ!」

「ああ、見りゃ分かる。そんなに興奮するな。あの真ん中の店は旅の露天商が多いから、商店にはない外国の珍しい物が結構あるぞ」


アルフレッドにそんな説明をされると、好奇心が抑えられなくなる。

ゆっくり歩きながらちらちら見ると、壺などの美術品や、珍しい色合いの布やバッグなどを売っている店が多いようだ。

おまけに、似顔絵描きまでいる。

そんな中、若い娘が群がっている露店を見つけた。

話をしながら楽しそうにしている様子が気になって店を覗くと、かわいいアクセサリーが目に入る。

小さな看板には、手作りアクセサリーと書かれていた。