「ええ、私だって侍女だもの。がんばってお掃除するわ。そうすればこの宮殿だって居心地がよくなると思うの。アルフが邸に帰りたくなくなるほどに」

「ほう……この俺に、そう思わせる自信があるのか? お前が、ひとりでできると言うのか?」


イジワルな笑顔を見せながら、アルフレッドは再びじりっと間合いを詰める。


「もちろんだわ。今にきっと『仕事ができる、大したもんだ』って、認めることになるわ!」

「ふん、それほど言うならば、お前が作る快適空間を見せてもらおうか。まずは、この部屋からやってみろ」

「ええ、やってみせるわ!」


アルフレッドの部屋を快適空間にする決意をし、ぐっと拳を握ってからハッと気づいた。

今日は侍女増員の交渉をするはずだったのに、これでは逆になっている。

売り言葉に買い言葉というべきか、うっかり『ひとりでできるわ!』宣言をしてしまった。

見たこともないマクベリー邸の侍女に対抗意識を燃やした自分を叱りたい気持ちになるが、後悔してももう遅い。

そもそもどうしてあんなにムキになったのか、自分でもよく分からないシルディーヌである。

女の意地かしら?と思いながら、握った拳を見つめていると、アルフレッドが問いかけてきた。