「すごいわ、アルフ!」
胸の前で手を組んで、尊敬の眼差しを向ける。
いたずらばかリして教会の神父さんに叱られていたアルフレッドが、なんて立派になったんだろうか!
幼馴染として、とてもうれしく思う。そのキラキラと輝く翡翠色の瞳を見て、アルフレッドの表情が微妙に柔らかくなった。
「ああ、団長になったときに購入したんだ。優秀な侍女もいるぞ。執事も雇ってある。……だから、いつ邸に来ても、快適に過ごせるぞ」
「え……“優秀な侍女”がいるから、マクベリー邸は快適なの?」
「そうだ。なにもしなくていい。加えて、邸は王宮の近くにある。おまけに商店街も近い。生活するには便利な場所にあるぞ。将来を見据えて、購入を決めたんだ」
アルフレッドは「どうだ? いい条件だろう」と言って、満足げにニヤリと笑う。
立地条件が良く、使用人の体制も整っている邸。
それはとても素晴らしいことだ。
けれどシルディーヌは、王宮の近くで便利云々よりも、“優秀な侍女”という言葉が頭の中でガンガン響いていた。
ここが快適な宮殿でないのは、むさくるしい男の巣窟であり、今までのおざなりな掃除の積み重ねが原因なのだ。
なによりも、アルフレッドが侍女を褒めたのが気に入らない。
アマガエルに似てるだの、サンクスレッドに帰れだの。
シルディーヌは一度も褒められたことがないのにと、ぷっくり膨れる。