確かに美しく、最初のインパクトは相当のものだったが、それだけだ。

やはりころころと表情を変える花の方が百倍素晴らしいと思うし、飽きない。

アルフレッドの腕に捕まるかわいい花は、謎も多くて、思い通りにならなくて苦労するが、一生大切にできる者だ。


「ね、アルフ。あそこがいいわ。あの平らな場所にしましょう」


突然シルディーヌがアルフレッドの腕を強く引っ張った。

ぐいぐい引かれて向かったところは、大きな木が涼やかな日陰をつくっていた。

シルディーヌはバスケットの蓋を開き、敷物を取り出してふわりと広げる。

そして座るのを勧めてくるので、アルフレッドはシルディーヌの隣に腰を下ろした。


「……持ってきたのは、それか?」


シルディーヌがバスケットの中から次々と取り出す物を、アルフレッドは目を見開いて眺める。


「そうなの。早起きして、寮にある小さなキッチンを借りて作ったの。アルフのお口に合うといいんだけど」


シルディーヌが持ってきたのは、二人分のランチだった。

四角いパンにチーズとハムと葉野菜を挟み込んだもの。骨付きのグリルチキン。それに果物にミルクだ。