そして週末。
朝から抜ける様な青空が広がる下、馬車に乗ったアルフレッドはシルディーヌと一緒にコルラルの丘に向かっている。
窓の外を流れる景色は、王都の街並みから離れて緑多きものへと変わっていく。
丘までは馬車で約一時間半の道のりで、王都から日帰りで行ける人気の観光地のひとつだ。
今の季節は花祭り、秋が深まれば紅葉祭り、冬が来れば雪祭りと、祭りばかりしているところでもある。
クッションの上にゆったり座っているシルディーヌは、単純に景色の移り変わりを楽しんでいるが、アルフレッドはそうでない。
先日の雷の爪痕がないかの確認をしているのだ。
王都では雷が落ちたところは樹木が主で、幸いにしてけが人や火事の報告はなかった。
ただ黒龍殿の屋根に掲げてある旗に雷が落ちたらしく、紺碧の旗が真っ黒に焦げていたが、それ以外は被害らしいものはない。
道中もあまり被害は見当たらず、とりあえず安堵する。
あとの心配はマンデリアの花の具合のみ。
フリードの情報によれば花は残っているとのことだったが、どの程度なのかは漠然としていた。
シルディーヌがガッカリしなければいいのだが。
もしも残念な光景が広がってたらそのときはどうするか。
女性はなにを楽しめるのか、今ひとつ分からないアルフレッドである。