「それにね、私にとって侍女の仕事は、花嫁修業でもあるの。だから、最後までやらせてほしいわ」
強い意思を見せられただけでなく、花嫁修業と言われれば、アルフレッドは完敗だ。
「……仕方がないな」
アルフレッドは愛を込めてシルディーヌの額に口づけをして、名残惜し気に腕の中から解放した。
この体を思う存分に愛せるのは、まだまだ先のことである。
「今の嵐で、マンデリアの花は散ったんじゃないか?」
「え!?」
シルディーヌの体が、別の意味で硬直した。
アルフレッドはそれをおもしろく見ながら、散っても散っていなくても花祭りに行くことを約束したのだった。