そんな便利で素敵なお店なら、これは行かない手はない。

シルディーヌも初給金でドレスを買うのだ。

より良いお店がいいに決まっている。

シルディーヌの頭にアルフレッドの迫力満点な顔が浮かんだが、すぐに追い出し、ペペロネにうなずいて見せた。

恋人でも許嫁でもないドSな幼馴染に禁止されたからと言って、お得な情報を無視できない。


「ペペロネ、是非ともそこに行きましょう!」

「ええ、シルディーヌ。視線を釘づけにするドレスを、絶対に手に入れましょう!」


並々ならぬ意気込みのペペロネとともに、シルディーヌは公園近くの店に向かった。

おしゃべりしながら歩く道は楽しく、途中迷いながらも、ふたりは目的のお店にたどり着いた。

馬車が入れないほどに狭い路地の奥にあり、人通りもなく、怖いくらいに静かな場所にあった。

看板がないとお店だと分からないくらいに地味な外観で、シルディーヌはちょっぴり不安になる。

それでもペペロネが先立ってお店の扉を開け、一歩中に入れば、外観の地味さとは裏腹な色彩豊かな世界が広がっていて、感嘆の声を出した。

愛想のいい年配の店主さんとお針子さんにアドバイスをもらいながら、試着を繰り返しじっくり時間をかけてドレスを選ぶ。

途中でお茶とお菓子をいただきながら、シルディーヌはピンク色で胸から裾にかけて花とレース飾りがあるドレスに決めた。