天気も快晴になったお休みの日。

街へ繰り出したシルディーヌとペペロネは、王宮近くにある橋の上で華やいでいた。

シルディーヌがほんの数日前にアルフレッドと待ち合わせをした、商店街へと続く大きな橋である。

ピンクブロンドの髪に花の髪飾りをつけ、柔らかな風合いのクリーム色のワンピースを着たシルディーヌ。

ブロンドの髪を巻き毛にして、淡いブルーで軽やかなレース地のワンピースを着たペペロネ。

ふたりとも子爵令嬢らしい品が感じられる、とてもかわいい装いだ。


今日は相手が同性だということもあってとても気楽なシルディーヌは、めいっぱい楽しむつもりでいる。

対して、初めての外出であるペペロネは、シルディーヌ同様に楽しみたい気持ちはあるが、それよりもいい買い物をしたいという気合が半端じゃない。

先輩から聞いたという情報を、しっかりメモ書きして持ってきていた。

王族御用達の老舗から先輩侍女行きつけのお店、令嬢たちの間で流行ってるものなども詳しく調べてきている。

ペペロネは、そのメモをめくりながら言った。


「シルディーヌ。先輩たちが言うには、ドレスは商店街で買わないほうがいいらしいわ」

「そうなの? でも商店街には、素敵なお店がたくさんあったわ」


前回はアルフレッドと一緒だったし、ドレスを買う気はなかったから寄ってはいないが、シルディーヌが心惹かれる店が二、三件はあった。