「仕方がない。お前が俺の言うことを聞くなら、なんとかしてやらんこともないぞ」

「なんとかするって、なにを? 婿探しを手伝ってくれるの?」

「違う。それは自力でやれ。俺が言ってるのは、別のことだ」

「別って、西宮殿のこと?」

「そうだ。さらに、黒龍殿に侵入した件についても、見逃してやらんこともないな」

「……信じてもいいの?」


琥珀色の瞳を涙で潤ませて見つめるシルディーヌに、アルフレッドは「まあ、俺に任せろ」と、自信たっぷりな様子を見せる。

イジワルなアルフレッドにすがるのは、とっても危険な気がする。

だが、この王宮内で頼ることができる唯一の人である。


「さあ、どうする?」

「よ、よろしくお願いします」

「よし、契約成立だな」


そう言ったアルフレッドの真っ黒い微笑みを見てしまい、シルディーヌはさっそく後悔したのだった。