問題は、休みがもらえるかどうか。

つい先日休みをもらったというか、一緒に休んだところなのだ。許可される気がしない。

ペペロネと約束したからには是が非でも休みをもぎ取らねばならないが、どうアルフレッドに話を切り出せばいいのか。

昨夜からずっと考えているけれど、いい案が思いつかないシルディーヌである。

いつも通りに黒龍殿まで来たのはいいが、入口ホールで立ち止まって悩んでいた。

二階に上がって廊下で考え込もうものなら、以前そうであったように、能天気な気配がだだ漏れ云々と言われて、強引に部屋に入れられかねない。

そうなればなんの準備もないまま挑むことになり、返り討ちにあってしまいそうだ。

アルフレッドがシルディーヌの気配を察する範囲がどこまで及ぶか分からないが、いくらなんでも宮殿の入口付近ならば平気なはず。

ということで、入口ホールで腕組みをして立っている。

そんなシルディーヌを、団員たちが横目で見つつも避けて通り過ぎていく。

騎士たちは大いに気になっているが、団長の女と知っているため安易に話しかけることができない。

そんな状態の入口ホールだが、ひとりだけ気軽に声をかけられる者がいた。


「シルディーヌさん、どうしたんですか。悩み事ですか」


クマのように大きな体を屈めてシルディーヌの顔を覗き込んでいるのは、三番隊の隊長アクトラスだ。