「そうなの!! 侍女長がおっしゃるには、今年は王太子殿下の計らいで、私たちみたいな田舎の子爵侍女にも、参加の機会が与えられたんですって! 希望者は申し出てほしいとおっしゃって、私にまとめるようにって!!」

「まあ! 王太子殿下が!? なんて素敵なことなのかしら! もちろん、参加しますわ!」


キャンディが瞳をキラキラと輝かせてシルディーヌの方を見るので、満面の笑みで大きくうなずいてみせる。


舞踏会といえば、独身男女の出会いの場!

きっと貴族院の貴公子も公爵家の貴公子も、たくさん来られるはず!

それに、王太子殿下とお近づきになれる大チャンス!


そんなふうに、みんなでひとしきり盛り上がり、新米侍女全員が舞踏会参加を決めた。


「ところで、みんなはドレスを持ってきてるの?」


ペペロネに尋ねられ、キャンディは一着持っていると答えているが、シルディーヌは持ってきていない。

サンクスレッドの家に頼んで送ってもらうか、どうするべきか考えているとペペロネがポンと手を叩いた。


「私もドレスを持ってきていないの。だから、どうせなら、一緒に買いに行きましょう! 素敵なドレスを着て、貴公子さまの視線を釘付けにするの!」


ペペロネの瞳が燃えるような輝きを放っている。

この場にいる誰よりも、舞踏会での出会いに賭けているような感じだ。


「視線を釘付け……そ、そうよね、そうしましょう! 私がペペロネにぴったりのドレスを選ぶわ」


シルディーヌは二つ返事でそうすることに決め、アルフレッドの不機嫌顔が思い浮かんだがすぐに頭の中から追い出し、ペペロネと休みの日を合わせることを約束した。