街へ行きたいが人攫いが出るからどうしよう的なことを言ったら、アルフレッドも休みを取って付き合った。
アルフレッドの誕生日だったこともあるが、商店街ではなんだかんだ文句を言いつつもシルディーヌが行きたいお店に連れて行ってくれた。
よくよく思い出すと、アルフレッドはシルディーヌを思うがための行動を取っているようだ。
それならば、わざわざ王太子殿下から許可をもらって黒龍殿の配属にしたのは、シルディーヌに婿探しをさせないためなのか!?
常にそばにおいておき、監視するためだとも言える。
なんということだろう。シルディーヌはアルフレッドの作り出す囲いの中に、まんまと入れられたことになる。
ワイバーンな態度の陰に隠れてピンと来ないが、どうやらとんでもない量の愛情を向けられている感じだ。
このままでは、降り注がれる愛情の滝壺から脱け出せなくなりそうだ。
そして流されるままに結婚!?
イジワルアルフとの結婚生活なんて、どんなものになるのか。
アマガエルに似てるだの能天気だの、さらには犬のようなどと言う人なのだ。
シルディーヌには理解不能な愛し方をされそうなのが怖い。
それでも、太っちょカーネルより数倍良いことは、間違いないのだが。
悶々と考えながら東の食堂に来て、いつも通りに食事を準備してテーブルにつくとペペロネの姿がなかった。
東の食堂に一番近いところで仕事をしているから、いつも一番に来てテーブルを確保しているのに。