「今日から真知のお兄ちゃんになる玲くんよ」

「おにいちゃん…?」

「よろしくね、まちちゃん」

差し出された手は大きくて温かかった。

そっと顔を上げるとその優しい瞳に釘付けになった。

胸の奥が温かくなって、幼いながらにようやく私の特別な人を見つけたと感じた。

あの日の直感は、間違っていなかった。



それがどれだけ重いものなのか、幼い私はまだ知らない。