霞む視界を振り払うように頭を軽く振って目を擦る。
そうしているとザワザワと騒がしくなる部屋の外に目を凝らす。
ガラッと開け放たれるドアに一瞬ドキリとした。
「淡雪さん、意識は有りますか?」
「…はい」
「自分が誰かは分かりますか?」
「…淡雪一葉です」
「歳はいくつですか?」
「17です」
「脳への損傷は今のところ見受けられないようですね」
お母さんに目配せした後に先生さ、ゆっくりと上体を起こす私に視線を合わせて中腰になりながら話を切り出した。
「淡雪さん、今から言う私の話をしっかり聞いてください」
「…はい」
「淡雪さんは今、病魔に侵されています。ですが、その病魔は我々ではまだ手がつけられない難病なんです。…いえ、難病の認定さえされていない奇病で…この世界で出ている症例がほぼ0に等しいんです」
「…」
「勿論、奇病だからと言って匙を投げるつもりは有りません。淡雪さん、私たちと頑張りましょう」
「…っ」
堪えていたはずの涙がぽろぽろと溢れだして、仕舞いには鼻水さえ出して号泣。先生はその様子を見ながらもただ黙って見ているだけで、泣き出した私を抱き締めたお母さんの体は震えていた。
そうしているとザワザワと騒がしくなる部屋の外に目を凝らす。
ガラッと開け放たれるドアに一瞬ドキリとした。
「淡雪さん、意識は有りますか?」
「…はい」
「自分が誰かは分かりますか?」
「…淡雪一葉です」
「歳はいくつですか?」
「17です」
「脳への損傷は今のところ見受けられないようですね」
お母さんに目配せした後に先生さ、ゆっくりと上体を起こす私に視線を合わせて中腰になりながら話を切り出した。
「淡雪さん、今から言う私の話をしっかり聞いてください」
「…はい」
「淡雪さんは今、病魔に侵されています。ですが、その病魔は我々ではまだ手がつけられない難病なんです。…いえ、難病の認定さえされていない奇病で…この世界で出ている症例がほぼ0に等しいんです」
「…」
「勿論、奇病だからと言って匙を投げるつもりは有りません。淡雪さん、私たちと頑張りましょう」
「…っ」
堪えていたはずの涙がぽろぽろと溢れだして、仕舞いには鼻水さえ出して号泣。先生はその様子を見ながらもただ黙って見ているだけで、泣き出した私を抱き締めたお母さんの体は震えていた。