「お前ができていることが分かった時、私は言えなかった。お前の母親に、その子をおろせと。その子を殺せと言えなかった。わが子を失ったばかりの妻に、もう一人の命を殺せなど誰が言える?」



司は理事長も人間なのだと知った。



大きな悲しみも感じる人だったのだ。誰かを愛することのできる人だったのだ。




熱い血が流れている人だったのだ。