その手のひらの温かさに、安心感を感じる。

不思議な人。

『ありがとう、千李さん。』

私がそう言うと、千李さんは黙って笑顔で頷いてくれた。

「なんか、本当にいい雰囲気じゃないか?」

來斗さんは楽しそう?

『そうだ!千李さん、家にご飯食べに来ません?要ももう一度会いたいって言ってて。』

話題を変えるように誘ってみる。

お礼に何かしたかったんだよね。

「威音ちゃんが良いなら…。」

『ぜひ!何が食べたいですか?』

「好き嫌いないから、何でも大丈夫だよ。」

う~ん。

何作ろう?

そのあとは少し來斗さんにつっこまれたけど、二人でさらっと流してミラーを出た。

少し寒いな…。

あったかいものかなぁ。

なんて思いながら歩いてると。

「威音!」

急に後ろから肩を掴まれて、そのまま後ろに倒れる。

…わけもなく、後ろの人の胸におさまる。

「威音、話を聞いて。」

私は動揺しながらも、慌ててその人の胸から逃げる。

『イヤです。』

「お願いだ!」

それでもしつこく言う神威。