きっとまだ帰らない。

この一年は本当まともにデートもできなくて、私が神威のマンションで待っていて、ほんのちょっと会うくらいだった。

私はまだ社会人じゃないから、働く大変さとかわからない。

無理に会いたいとかデートしたいとかも言えず、でも家で少しでも会えたらそれで良かった。

そんな私さえ、彼にとっては重荷だったのかもしれない。

「…来てたのか。」

『おかえりなさい。ご飯は?』

「友達と食べてきた。」

私とは最近ご飯さえ食べたりしてないのにな…って、気持ちが顔に出ちゃったのかな。

「なんか言いたそうだな。」

ネクタイを外しながら、私から目線を外し、そう言われた。

…私って神威にとって必要か、知りたくて。

『私もたまにはご飯一緒に食べたい。』

お願い…私を必要として。

いつもは言わないセリフを言ってた。

「はっ?忙しいのわかってるだろ?めんどくせぇこと言ってんな。疲れてんだよ。んなこと言うなら消えろ。」

…必要として…。

わたしはいらない存在。

両親からも彼氏にとっても、いてもいなくてもいいのね。

涙が溢れそうになって、必死に我慢した。

これ以上、面倒な存在だと思われたくなかった。

笑えたかどうかはわからない。

『そっか…。』って、小さく答えて。

神威はそのまま、こちらを見ずにシャワーを浴びに行ってしまった。

バッグを持って、フラフラと立ち上がる。