病院に着くと。

威音の両親と三笠さんと知らない背の高い男がいる。

「三笠さんっ!威音は?!」

息が荒いまま尋ねる。

「なんとか処置は終わってます。あとは目覚めてくれないとなんとも…。さっそくですけど、藤守さん何言ったんですか?!」

鋭い眼力を向け、オレに問いかける。

正直に答えた。

「急に来てて、何か様子がおかしいと思ったけど…。たまにはご飯一緒に食べたいって些細なお願いを、イライラしてて“消えろ”って言って八つ当たりした。」

「はぁ?!あんた、威音の彼氏だよね?!大事にできないなら別れなさいよっ。どいつもこいつもヒドイことばかり!おじさんは無関心で半年以上も会わない。おばさんも会わない上にいつか帰って来てくれると待ってた希望の家を出ていけ…その上自立ですって?!小学生からずっと一人の威音に向かって、何それ?!ほんっと最低!これは殺人未遂よ!大企業の社長と弁護士と有名企業の社員が殺人未遂…週刊誌のいいネタだわ。」

「要ちゃん?!」

威音の母親は金切り声を上げる。

「なんですかっ?!その自覚がないんですか?それでも人の親ですか?人間ですか?!常識疑います。…はっきり言います。威音は全て知ってますよ。あなた達が何をしているのか…それでも一縷の望みにかけてたんです。私と成くんは諦めろって、常に言ってたんです。いつか…こんな最悪な事になりそうで、恐かったので。」

三笠さんは興奮しながらも、淡々としゃべる。

彼女はずっと一番近くで、威音の苦悩を見てきたんだ。

それが最悪の事態になって、爆発したんだ。