(神威side)

威音が海に飛び込んだ。

オレのせいだ。

威音は滅多に連絡なしでは、家に来たりしない。

いつもと違うと、どこかで感じていたはずなのに、オレは疲れてイライラしているのを理由に八つ当たり。

夕飯もほんとは友達なんかじゃない。

嫌々連れていかされた上司との付き合いだ。

そんな愚痴みたいなこと、大学生の威音に言っても…と思い、友達だとウソをついた。

たまには自分とも食べて欲しいという、些細な事でさえ伺うように恐々と言いにくそうに言ってきた威音。

たったそれだけの願いを、この時のオレは苛立ちだけではね除けた。

言ってはいけない言葉を言い捨てて。

そのあと。

夜中にかかってきた電話は威音からのもの。

これ以上嫌なことを言いたくなくて無視しようかと思ったが、なんだか出なければいけないような気がして。

“もしもし?!”

威音の声じゃない。

「三笠(みかさ)さん?」

威音の友達の三笠要さん。

何度か会ったことがある。

“今日、威音に会いましたっ?!”

「会ったけど…。」

“何か言いましたっ?”