「・・・おい。ギャグじゃなかったのかよ」

『お前がゴリラに会いたがってたからだろ』







結局本当にゴリラコーナーに連れて行かれた。2人でゴリラ見所スペースの柵に頬杖をついてゴリラたちを眺める。


繋がれていた手はさっさと離れた。そのあと指の隙間に吹き抜ける風は生温くて、あまり気持ちが良くなかった。









『あれ?お前の先輩寝てるよ』

「は!?どこ!?」

『ほら、檻ん中。いっぱいいるじゃん』

「馬鹿野郎!強いて言うなら1番右の厳ついゴリラだろ」

『お前それ1番最低だろ』









相変わらず、こんな会話ばかり。アオは喉が乾いたのか私が先程遠山先輩から貰った飲み物をひょいと奪うと許可なくストローで中身を吸い上げる。









「遠山先輩と戸島先輩、上手くいってるかなー。見届けるべきだったかな」

『俺らがいくら見届けても、2人が上手くいってるかどうかなんてわかんねーだろ』

「なんでよ」







アオは食ってかかる私を面倒そうに見下ろして、烏龍茶を飲み込む。低くもなく高くもない、柔らかい声で素っ気ないことを言う。