「・・・なにも、ない」

『そう。無理に詮索はしないけど、修学旅行のあの日から明らかにおかしいし、私のせいかなって』

「夏子は全然悪くないよ」





私は修学旅行以来一度も部室に足を運べず、アオはどうなのかは知らないけれど、もうあそこに行くことができなくなってしまっていた。




それなのに、時は平等に経つもので、あっという間に2月を迎えて、もうすぐ3月になってしまう。アオハル部についても3月1日までに決断を下すようにと顧問に釘を刺された。






「・・・・・・戻りたい」

『戻ってどうするの。何事も無かったかのように笑うの?』


机に突っ伏した私に夏子の声が降り掛かる。


『青海は自分の気持ちがわからないんじゃなくて、自分の気持ちに気づくことが怖いんじゃないの』



最近ずっと考えて、悩んで、答えが出せないでいる私にぐっさりとその言葉は突き刺さった。



私は答えが出せないんじゃなくて、答えを出すのが怖いだけなのかな。




「・・・私は、勝部先輩を好きで、」

『うん』

「その気持ちに嘘はないと、思う」

『そう。それで?』

「それからは、よくわからなくなってる」