あの時偶然居合わせたのがアオで良かったと本当に思う。



お互いに疲れて、溜息を着きながら私は改めて双眼鏡でゴリ・・・勝部先輩を見つめて、アオはどうでもよさそうにグラウンド全体を眺めている。




『どうせハルは誰でも良かったんだろ』





別に険悪さはない。ただ純粋にそう零されたアオの声に私は黙ってアオのお腹を肘で殴る。


アオは「う、」と本気で痛そうに私の背後からよろめいて数歩分、離れた。





「私だってほいほい誰かを考えも無しに誘うような、巻き込むような馬鹿じゃない」

『(現時点で巻き込まれている俺とは)』






双眼鏡で、勝部先輩を見つめたまま、あの時のアオを思い出して言葉を呟く。


別にそれがアオに聞こえていようがいまいが関係ないとでも言わんばかりの声量で。