「次乗り換えどこ・・・・・・あれ、アオは?」




振り向いて見つけられたのは後ろの夏子とその後ろの故原くん。その後ろからは知らない人達ばかりで、いくら後ろを辿ってもアオがいない。



夏子も故原くんもアオがいないことに気づいて一気に青ざめる。





『俺、降りる前に紫春起こして起きたからてっきり着いてきてるのかと思ってて、』

「アイツきっと二度寝したんだ!」

『嘘でしょ。結構ホテル着くのぴったりにしてたんだけど』

『紫春に電話する』





アオがいない。





そのことに頭が真っ白になる。エスカレーターが上に着いた途端、私は2人に何も言わずに再び階段を猛スピードで降り始めていた。2人が私を呼ぶ声が微かに、風のように過ぎる。



不可解な心音に、嫌な冷や汗が出て、気持ち悪くて、苦しくて、早くアオの顔を見て、安心したいと思った。たったそれだけだった。




冷静に考えれば、アオがいなくなるはずなんてないのに。あまりにも唐突な状況に私の頭はパニックになって、アオを失うことが怖くてたまらなかった。




先ほど降りた所からきた電車に何も考えず、考えられずに乗り込む。頭の中にはアオだけだ。