私はそんなアオが面白くも少し可哀想になってしまって。いやほぼ母性本能を擽られてなのだが握られた手をぎゅっと握った。






「大丈夫だって」

『遺言書は、死んでもハルのそばにいる、か、らッッ!』

「きゃぁあああー・・・!!」




アオが言い切るか言い切らないかのあたりでジェットコースターは物凄いスピードで下降した。隣から声が一切聞こえないのが心配だが、握られた手は力強く私を求めていた。




『おかえりなさーい!』





あっという間にジェットコースターは終わって、最初のスタート地点に戻ってくる。スタッフさんがお決まりの笑顔で出迎えてくれる。



乱れた髪を手を繋いでいない方の手で直しながらなんだかんだ面白くて抑えきれない高揚感をアオにぶつけるように横を向いた。





「意外と楽しかっ・・・・・・え。」



隣で白目を剥き、本気で泡を吹きそうなレベルで身体を力なく重力任せに垂らすアオ。心配になってその頬をぺちぺちと叩けば瞬きを繰り返したアオに、生きていることは確認できたが奴の顔が恐ろしく歪む。


そうしてぶわあっと大量の涙が綺麗な瞳に滲む。




『も・・・やだ。怖かった、ふざけんな・・・くっそ、』

「はいはいよくがんばりました」

『・・・だれだよジェットコースター作ったの…ぜって、・・・許さね、かんな・・・っ!』




ぐすぐす泣く高校生男子。悔しそうに腕で顔を隠し強がりつつも、やはりガチ泣き。しかも泣き方が異様に可愛いので誰も引いた目で見る人がいない。



ジェットコースターを降りて、階段を下り、夏子達が居たはずのところへ行くがいない。不思議に思いながらスマホを見れば夏子から連絡が入っていた。