「すみませんコイツ頭の中5歳児なんで」

『ハルは黙ってろ俺はゴリラを殴る』

『え!?お、俺なんかしたかな』

『いいから殴らせろ』




鋭い眼光で勝部先輩を睨みつけるアオの後頭部を思いっきり平手ですっぱ抜く。爽快な音を鳴らしたアオの後頭部を見れば、すぐに大きなアオの両手がそこを抑えて怒りを孕んだ泣きそうな顔が振り向いた。





『いてぇ!』

「勝部先輩、今日告うつもりなんですか?」

『あ、うん。彼女が面接練習終えたら一緒に帰るから・・・・・・ところで彼は大丈夫?』

『大丈夫じゃねーよゴリラ!』





勝部先輩が心配してくれているというのに全てに突っかかるアオ。痛そうに後頭部を擦りながら一応落ち着いたのかソファーに深く座り直し、溜息を零す。



アオのせいで、泣きたいくらい傷心じみた気持ちが、いつも通りの通常運転になってしまった。ちがう。アオの、おかげだ。





「・・・・・・かっこいい言葉とか、状況とか無理に作らないで勝部先輩の言葉で気持ちで、伝えてもらった方が嬉しいと思います」

『そう、かな・・・?女の子はそう思うものなのかな?』

「少なからず私は、そう思います。勝部先輩のそのままの気持ちを聞きたいって思います・・・きっとマネージャーさんもそうだと」





私のゆっくりと吐き出した言葉に、勝部先輩は暫く私を真剣な顔で見つめた。そして決意を滲ませる顔でそっと頷いた。