彼は私に自身の制服を鷲掴みにされて困惑しているらしい。いや何この状況と言わんばかりの顔である。





『俺、関係ないよね。手離してく、』

「でね先生!青井くんも写真いいよ」






私の言葉にキョトンとする2人。副校長先生はもうとっくに離脱して他の仕事を始めている




「その代わり、部活創設を許可してください」




すぐさま先生の顔がわずかに曇る。




『でもさすがに部員1人は、』

「1人じゃないもん。居るでしょうよ私の隣に新入部員が」





するとぐりん、と勢いよく私を見た一分前まで帰宅部だった美少年。





『おい誰が新入部員だって?』

「青井くん」

『わおびっくり。当の本人が初耳なんですけど』

「サプラァーイズ。」

『わあー心から嬉しくねー』





私は青井くんを引っ張って、学年主任から少し離れると声を潜めるとともに身を寄せた。





「青井くん、好きな人いる?」




彼は私のキチガイさに白目を向きそうになりながらも声を顰める私に耳を貸す。






『は?いきなり何。』

「だから恋してる?って聞いてんの」




突拍子もない言葉に目を細めた彼は至近距離で私を見つめてくる。



この時点でアオが私に対する態度が他とは変わったのかななんて勝手に思っている。決して良い意味ではなく、辛辣になったということだ。



私がひたすら青井くんを至近距離で見つめていれば、彼は観念したようにふいと視線を逸らす。