『私も春井先輩みたいになれるように、頑張ります。あんな回し蹴りで皆を黙らせることができるくらい、強くなります』

「いやあれは真似しないでください」

『春井先輩、本当にありがとうございます。あ、青井もどーもね』

『はああああ?なんなのコイツ!』

「佳菜子ちゃんその調子だよ」

『はいっ!』

『“はいっ!”じゃねえよ、ハルも何言ってんだよ馬鹿か!』






ぺこ、と頭を下げて戻ろうとする佳菜子ちゃん。ふと何かを思い出したように彼女を呼び止めたアオはぶっきらぼうな声を飛ばす。









『アイツにちゃんと御礼言えよ』


『・・・知ってるよばーか!』








あっかんべえをした佳菜子ちゃんはぱたぱたと自分の教室に戻って行った。「アイツ」とはきっと、あそこで勇気を出して傍観者を脱してくれた男の子のことだろう。






2人でどっと疲れを感じながら、なんとなくもう自分たちの教室に戻る道を歩き出す。









「・・・大丈夫かな、佳菜子ちゃん」

『大丈夫に“する“んじゃねえの。どうでもいい腹減ったー』

「そうだね。私勝部先輩の舞台見たいなあ」

『え、アイツ何やんの』

「ジャングル探検隊?だって」

『うわあー、とうとうゴリラ野生に目覚めるのか』

「おい」