「故原くん、夏子のこと好きなの?」

『うん多分!』

「多分って・・・、」







にかっと笑う故原くんは恋愛ちんぷんかんぷんショート寸前だった同一人物とは思えない。溜息をつく私に代わってアオが故原くんに問いかける。







『なにお前、多分でデート誘っちゃったの?』

『だって自分でもこの気持ちがどういう“好き”なのかわかんないから』

『だってって拓人お前さあ・・・、もっと慎重にいけよ』

『でも慎重に行ってたらなあなあになっちゃうじゃん、もしそれで恋愛の“好き”に気づいても遅いかもしれないじゃん!』

『・・・・・・』







私達に責められたのが気に食わないのか、ぶーっと唇を尖らせて反論する故原くんに珍しくアオが驚いた顔して黙り込んだ。









『ちょっとー、私もう先行ってもいいー?』

「あ、ごめんすぐ行く!」








痺れを切らした夏子の声で3人はすぐに着替え始める。結局、私がアオの長袖長ズボンを着て、アオが故原くんの長袖長ズボンを着て、故原くんは半袖短パンである。






私が女子更衣室から着替えて教室に行けば、アオだけが私の教室の扉に突っ立っていた。寒そうに手を隠す萌え袖に、確かに私より似合うなと実感して蹴りを入れた。