“どんなこと”にでも“誰にでも”結局優し過ぎるアオに腹が立って。何よりもアオに何ひとつ真っ直ぐと向き合っているようで向き合えていない自分がうんざりするほど嫌だ。いつだってアオとの差を見せつけられる。







だから、もういっそこっぴどくアオに言われちゃえばいいなんて、それこそ暴れた自分さえも棚に上げてアオに甘えようとした。










『でも、もうハルは自分に怒ってるでしょ』

「、」

『それで充分なお咎めじゃん。俺も急かしてごめん、焦ってた』









ふっざけんなこんなに優しくされたら甘えたくなる。大嫌いな自分をこんなに受け入れてくれるアオが怖い。そんな受け入れてもらえるようなもの、私にはないのに。






ぼす、とアオのお腹に軽くパンチを入れる。アオは「いて」なんて痛くもないのにそう笑って言いながら私の手を優しく握る。










「怒って私から離れてもいいのに」

『へえ、ハルは俺から離れてほしいの?』

「・・・・・・」

『否定しろや。紫春くん傷つくその2』







ぶすくれたままの私にアオはもう何食わぬ顔で笑う。こんなのどっかの親子だ。駄々をこねる子供に、優しく宥める親。それと酷似している。