アオは机に座ったまま、真っ直ぐと南ちゃんを見据える。優しさも情もない、ただ読み取った事実を綴るその声はやけに柔らかい。








『目立って見られたとしても、結局見つめ合う形にならない限り、大して差ないと思う』


『・・・・・・うん、』








アオは言いたいことを言い終えたのか、無表情のまま風船ガムを膨らませパチ、と割る。私は南ちゃんを見つめるが、南ちゃんは泣きそうに俯いたままだ。










「南ちゃん、私は“見てる”側だけどね、その人が例えどんなに着飾ったって何したって、ちゃんとずっと見てる側したらそんなのはどうでもいいんだよ」

『え?』

「上手く言えないけど、好きになっちゃったらその人本来が見えちゃうっていうか、だから外見とか関係ないじゃないかな、みたいな、そんな感じ」








私の言葉が終わった途端、突然アオが南ちゃんの腕を取ってぐっと引き寄せるとその頭を優しく撫でた。いきなりの出来事に固まる私と南ちゃん。






アオは近くなった距離で南ちゃんの顔を優しげに見つめながら頭をぽんぽんと撫でると私達にだけ聞こえるような声を零す。