「うっざ。アオなんか居なくても変わんないし。大体アオハル部自体が勝部先輩のためだし、勝部先輩見られるなら他なんてどうでもいいし。はっ、静かに思う存分勝部先輩が見つめられるなんて本望だ」





1人でぶつぶつと言いたいことだけ言い捨てる。音のない部室に気まずさを感じながら強がって双眼鏡でひたすら先輩を見つめる。




別に、変わらない。部室で2人一緒にいたってお互いやりたい放題やってたし、会話なんて思いつきで適当だし、アオの音なんて些細なものばかりだし。






「ほんっと勝部先輩かっこいい」

─いやただのゴリラだろ─


「勝部先輩の声ってなんであんなに素敵なのかな」

─日本初の日本語話せるゴリラじゃん─


「・・・真奈美真奈美ってうっせんだよぶゎあーか」

─“ちゃん”を付けろって言ってんだろ─


「・・・・・・」






私、馬鹿みたいにアオのこと知ってる。どうでもいいくらい、どうでもいいことを、知ってる。これが当たり前なんだと思ってたけど、そうでもないんだななんて今更実感しては長く息を吐き出した。




たった、28日間。1ヶ月すら経っていないのに、最近体力があまり余って夜よく眠れない。





「・・・つまんない」