暫くの沈黙の後。弱さに強がりをねじ込ませ、微かな怒気を孕ませたアオの声が届く。





『だから、アオハル部の存在意義がないなんて、つまんねーこと言うなよ』




その言葉にハッとして、昨日の何気ない自分の言葉を思い出す。




“勝部先輩がもし負けちゃったら──・・・もうこの部に存在意義なんてないもん”





こんなの、最低だ。私はアオを何だと思ってるんだ。それをアオに言わせなきゃ気づかないなんて、もっと酷い。






「ごめん・・・ごめんなさい」

『スポーツドリンク奢ってくれたからもういいよ』

「・・・アオは、優し過ぎる。馬鹿みるよ」





私にとってアオはかけがえのない存在なのは、もうとっくに分かってる。私はきっと無意識に傷つけてしまっているのに、アオはいつも何も言わない。怒らないで、他愛のないように許してくれる。



私はその優しさに誰よりも甘えているくせに。誰かがその優しさに付け込んでアオを傷つけたらと思うと、とても嫌な気持ちになる。アオの傷ついた顔は、見たくないと思う。





『残念ながら俺はハルが思ってるような、“優しい奴”なんかじゃない。いつだって自分のために動いている』

「嘘だ」

『本人に嘘ってなんだよ。まあ─…それに、ハルになら馬鹿みせられてもいいかな、俺は』

「なんで」