静かにぽたぽた涙を流す飛田くんに胸が痛くなる。




「飛田くんは、どうしたい?」




でもアオの言っていることは正しくて、どちらの味方につくこともできない。





「飛田くんがここに来てくれたこと。私達は無駄にすることなんてしないよ。アオもそれをわかった上で真剣に飛田くんに言ってるんだよ」





アオが彼を見捨てることなんてしないこと。それだけは言いきれる。傷つけるためにアオは言葉を乱用したりなんかしない。



喋るのを面倒がってジェスチャーで伝えようとしてきたりするアオが、ちゃんと気持ちを込めた言葉で、飛田くんに伝えたかったことを真剣に伝えたのだから。





『出遅れたスタートでも・・・みんなに追いつけますか・・・?』




暫く飛田くんの涙混じりの呼吸だけが静かに響いていた部室。そこに彼のありったけの勇気が詰め込まれた言葉が弾かれた。




「うん!きっとだいじょ、」

『さあ?』

「うっさいな!アオうるさい」

『はあ!?断言できねーことに首傾げて何が悪いんだよ』

「そこは夢を持てよ!少女漫画読んでんだろお前!」

『いや関係ないだろ』





埒が明かないのでアオの腰を思いっきり叩く。飛田くんの元へ行き、両手をぎゅっと握り締める。すると後ろから腰を蹴られた。ありえないんですけど、アイツあれでも男ですか。