「か、会長ノックくらいしてくださ、」

『開けっ放しにしてたのは君らの方だろう』




アオハル部の扉に目を向ければ、そうだった、この部に入ってきた時に夏特有の汗が滲むような暑さに風を呼び込むため、扉を開けっ放しにしていたのだった。なんでよりによって今日!





『本来ならば見るに耐えない部活動だが、今回は見逃してやる』

『下唇先輩が優しいとかなんか気持ち悪いっすね』

『設楽だクソガキ。・・・その代わり、俺の依頼を聞いてもらう』

『寿司奢ってくれるんならいいっすよ』

『お前自分の立場わかって口を聞いているのか』





アオは誰もが恐れる設楽会長に何食わぬ顔で物申す。こいつは本当にどうしてこういうところだけ肝が座ってるのか。


設楽会長は真顔のまま、1人掛けソファーに座る。私も会長の話を聞くためにそそくさとアオの隣に移動する。



設楽会長がいるだけで張り詰める空気。私とアオは会長の口が開くのを待つ。が、沈黙。沈黙。沈黙。





「・・・いや、会長依頼言ってくれないと話し進まないんですけど」






腕を組んだまま、どこか不機嫌そうに私達を獲物を捕らえるような鋭い視線で射抜いたまま設楽会長は一向に口を開かないので私とアオは痺れを切らす。




設楽会長は私の催促にやはり不機嫌に、尚且つ少し不服そうにグッと顎を引くとより一層眉間にシワを寄せた。




『実は・・・・・・、』




沈黙に疲れたアオが溜息をつきながら設楽会長を真顔で馬鹿にする。