ツン、とする私はアオに背を向けて、でも帰りどうしようかなあなんて外の雨を見て、少しブルーになっていれば。











『・・・何してんだよ』






ぶっきらぼうな愛想の欠片もない。そんなアオの声が背中に突き刺さるが振り返らない。




そんな私にアオは溜息をつくと、めんどくさそうに、そしていつも通りの声で私に言葉を飛ばしてくる。











『帰んぞ───ハル』

「!」








その声に、その言葉に、黙って振り向く。本当は気になっていたアオの表情を伺おうとすれば奴はとっくに教室の出口に向かって歩き出していた。








くだらないことで本気で喧嘩して、腸煮えくり返るほどイライラして、2日も口を聞かなかったその姿に、ほんの少し寂しく思ったりして。










「うん!帰る!」










ダダっとアオの元に走って行き、隣に並んでいつも通りに歩く。女子の歩幅を考えない自己中なアオの歩みがもう懐かしいなんて思う。










「───アオ」








前を向いたままアオの名前を呼ぶ。アオは私を見下ろし、無表情のまま私に返事をする。










『なに』

「・・・なんでもなーい」

『あっそ。ちなみに傘は俺が持ちます』

「え、珍しく男前」

『俺の肩が濡れないように』

「は?私が濡れるじゃん」

『うん』

「“うん”じゃねーよ」








私達は謝らない代わりに、お互いの名前を呼び合うことがいつの間にか“仲直り”の印になっていた。






他人にどうでもいいと
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言われた時に初めて
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自分のこだわりに気づく
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