廊下で必死に夏子にしがみついていれば、隣の3組の教室からそんな声が聞こえてくる。何これデジャヴ?








『デジャヴ?』

「それ私も思った」







立ち止まった夏子に釣られて私も止まり、無意識にそちらに視線を向ける。もちろん教室の中にはその声の主、アオと故原くん。







一番後ろの席に座って、不機嫌な顔をしながら耳を塞ぐアオとその前の机に寄り掛かりながらいつも通り笑う故原くん。









『強がんないで早く仲直りしたらいいのにー』

『やだね。俺は絶対謝らない。あっちが上目遣いの涙目で謝ってきたら許してやるけど』

『春井ちゃんに限ってそんなことしないと思う』

『それは俺も同感です』








アオの言葉に苛立っていれば、夏子にくすくす笑われて尚更悔しくなる。悪気が全くないアオに余計腹が立つ。こっちを見ていないのをいいことにアオに中指を突き立てた。










『ほら、ちゃっちゃと謝りなよ』

「え?う、わ・・・!」









夏子に突然、肩を押され、バランスを崩す。そのまま立て直せずにアオのクラスの入口のところですっ転んだ。