山吹先輩は思わず呆れ返って私達に笑う。その目の下にはクマがあって、どれだけ山吹先輩が寝ずに勉強を頑張っているのかがわかる。


少し休憩を兼ねて、お茶を飲みながら軽い談笑が始まる。




「山吹先輩は大学行くんですよね?」

『ん?ああ、うん』

「将来は決まってるんですか?」

『あー、うん・・・一応ね』





言葉を濁すように微笑する山吹先輩は決まっているという割にはその表情には曖昧さしかない。アオもお茶を飲みながら山吹先輩に問い掛ける。





『何になるんすか?』

『・・・親父の会社を継ごう、かなと』

『本当は?』

『え?』





アオの催促に思わず漏れた先輩の声に、見開かれた瞳。アオは何事にも容赦ない。空気を読まないし、きっと読む気など全くないのだと思う。無表情で真っ直ぐと先輩を見据えている。



山吹先輩は困ったように頬をかいて、眉を垂らしながらぽそり、と声を落とす。






『・・・教師』

「え!めっちゃ合ってるじゃないですか。天職で、」

『無理なんだ』