ぐーん、と立ち上がって伸びをするアオを見上げてそう言えば、白目向きそうなアオは呆れ返ると私の額をデコピンする。










『ジャンケン強くなりたいんだろ?』









そう、唇を静かに持ち上げて微笑するアオ。私とジャンケンボーイはアオの言葉の意味を理解して思わず万歳した。









「・・・ところで、ジャンケンってどうやって強くなるの?」

『奇遇だな。それ俺も思った』

「は?アンタあんだけカッコつけて台詞吐き捨てたんだからどうにかしなさいよ」

『カッコつけたんじゃなくて、無意識にカッコついちゃうんです俺は。無罪でーす』

「うざっ」








取り敢えずスマホでジャンケンの強くなり方や、下校中の生徒達を窓から声をかけ取っ捕まえては、ジャンケンだけ相手してもらうという意味がわからないことを繰り返した。









「初心者相手にはまず「パー」だってよ」

『馬鹿かお前。高2になってジャンケン初心者って何処の貴族だよ、みんな四天王クラスだぞ』

『青井くんはいつも最初に「チョキ」出すよね』

「あ、ジャンケンボーイも気づいた?こいついっつも「チョキ」ばっかなんだよ」

『マジで?俺そんなに「チョキ」ばっかだった?』

「無自覚かよ。ちなみにー「チョキ」を出す奴はひねくれ者らしいよ」

『それ絶対「チョキ」に恨みがある奴が勝手に作った話だろ』









3人であーだこーだ言いながらひたすらジャンケンをする。多分、1回目のジャンケンから何も進歩していないどころか変に色々考えているせいで衰えている気がする。