「ねえ、真奈美野郎。喉乾いた」

『は?今なんつった?貴様如きが真奈美ちゃんのこと馬鹿にしていいと思ってんのか。胸に手を当てて己の醜さを思い知れ』

「いやアオのこと馬鹿にしたんだけど」

『あそ。それならいい』

「(いいんだ)」




もう1人の部員であるアオは以前ここを使用していた女子茶道部が置き去りにしてくれた2人用のソファーに寝転んで、少女漫画を読み耽っている。



私は喉の乾きが限界に達したので取り敢えず日差しが差し込む窓付近から離れる。


そのままアオの寝転がるソファーの向かい、1人用ソファーに腰掛けた。





「あー・・・。アオ、喉乾いたでしょ?」

『いや別に』

「やっぱり喉乾いたかそっかあ!わかるその気持ち超わかる。だって私も喉乾いたから」

『ハル俺の声聞こえなくなった?』

「ジャンケンで負けた方が飲み物調達係ね」

『はあ?』



漸く少女漫画からアオのやる気皆無な双眸がこちらに向いた。

容赦なく「出さなきゃ負けよ」まで付けてジャンケンをすれば、パーの私に、慌ててグーを出したアオ。