裁判で刑が確定した。


その後のおれの人生は自由が無くて…

四六時中、まるで空まで伸びているかのような高い壁の中で誰かに見張られている生活。

トイレにさえ自由に行けないような

恋愛はもちろん女を抱く事もできなくて

出世や野望が叶わない代わりに老後の心配なんてない生活。

犯した罪を悔い改めるという時間を死ぬまで与えられたんだ。



『檻に入れられた動物のような一生』

ってのがぴったりな
おれの人生が待っているハズだった…。





だけど人生ってわからない。




おれはもう一度
外での生活を送る事ができるチャンスを与えられた。


更生の機会を与えられたのか?

…いや、違うな。

おれからすれば壁の中にいる方がずっとマシだったかもしれない…

こんなの究極の刑罰だ。



──おれに与えられたチャンスは


『別の人間に生まれ変わる事』

名前はおろか、戸籍そのものを変えて

総ての記憶、思い出は紙上で作られる

会った事もない架空の家族をでっち上げ


今までのおれとは違う人間になる事。


今まで存在していなかった人間に成り変わる


それをおれに本気で実行するらしかった。