「あれっ?先生?もしもし?先生?」

その声で、あたしの意識は戻ってきた…。

ここ…どこ?

「起きたか?凛」

目の前には義父の姿。義父は携帯電話をパタンと折りたたみベッドの隣にあった小さなテーブルへ置いた。

身体が重い気がする…──そうだ、あたしは車の中で何か薬を飲まされて…

睡眠薬?

ハルトに監禁されてた時を思い出す。あの時もこんな感じだったなって。

そう思って、あたしは手を動かしてみた。
手足を縛りつけているものは何も見当たらない。

ちょっと安心して
重い身体を何とか起こしてみた。

見覚えのある部屋…

「平田先生のオフィス…?」

「そうだよ。先生のご厚意でね、貸してもらったんだ。ここなら先生に凛を診てもらえるし。なぁに、普段の生活は俺が面倒見るからな。しばらくゆっくりするといい」

「ゆっくり?へ―…だから薬を飲ませて眠らせたの?」

「それは…凛が興奮していたから落ち着かせる為だったんだよ?お前に色々あったのはわかってる…だから迎えに行ったんだし」

「どうして平田先生と一緒に?」

「先生が心配して俺に連絡よこしてくれたんだ。だからここも貸してくれたし、人手も手配してくれた」