そうだろうな…オレに本名なんて教えたら、捜されるもんな。

…別にもう、どうだっていい話しだ。

凛を助けたら……オレは自分の人生を終わらせるつもりだし。

ちゃんと償いはするよ

だってこれは…オレのワガママから起きた事件だったからさ。

それにしても凛は今どこに?

奴が生きてるうちに上手く聞き出せばよかったと後悔した。

でも、どこかに手掛りがあるんじゃないかと、痛む身体をガマンしてあちこち調べた。

多分、肋骨がイってんな―…
凛を助けるまで、この身体はもつだろうか?

辺りをいくら探しても、何も出てこない。

オレは正直、焦っていた。

「…どうしよう」

こうしてる今も凛が危ない目にあってる気がして、ますます焦ってくる。

オレは奴が転がっている部屋へ戻り、また探した。

ふと…奴の死体が目に入り、奴の着ている服のポケットに手を入れて探ってみた。

何かが入ってる気配はない…

「…!」

オレの手に硬いものが触れた。それを取り出してみる…


「携帯…」

血で汚れていたけど、どうやら壊れてないみたいだ。
オレは電話帳を調べてみた。

《た》行で、手が止まる。

《藤堂》と
《藤堂 凛》の文字。