「最初は…殺すつもりだったよ。全員、この世から消えてほしかった。でも…できなかった」

「…どうして?」

「凛が妹とダブって見えたから。生きていれば今頃は凛のように幸せだったかもしれない、とか考えて…どうしても殺せなくて

ワザと凛が居ない日を選んだ。ちゃんと調べたのに」

「あたしは、たまたま風邪をひいて寝ていたって訳ね…」

そして藤紀を目撃した

そして記憶を失った…

「もう一つ…教えて。どうして犯行の動機を言わなかったの?言えば…状況は変わっていたかもしれない」

「妹を晒したくなかったから。原因にしたくなかった。そして凛をこの世に残した事…さすがに凛もマスコミに追われるのは気の毒だと…

でも後で思ったよ。やっぱり殺せば良かったってね。

そうだろ?
─まさか出会うなんて…そして愛するなんて思わなかった…」

彼は頭を抱えて座りこんだ。
あたしは彼の姿を見ていた。

状況が変わった

理由がやっぱり存在していた。
だけど…これじゃどっちが悪いとかないじゃない!

だけど、お互い不運だったと言えるものじゃない。

あたしがずっと犯人を、憎い相手を殺したいと思ってたこと

彼は正直に実行しただけだ。