あたしは体調が悪かったのと、煙を多少吸い込んでいた為に病院で手当してもらってから

サラと二人で家に戻った。

平田先生はいつの間にかはぐれて、消えていた。サラも気付かなかったらしい。

そして…

もちろんその日から藤紀は戻ってこなかった。

「凛…何か食べられる?何か食べた方がいいんだけど…」

サラがあたしの体調を気遣ってくれてたのはわかる。でもあたしはそっけなく答えた。

「ゴメン、一人にして…何も食べられそうにないから」

そして、サラの顔も見ずに着替えて自分の布団へと潜り込んだ。

…眠れるハズがないのに。

体調の悪さや、空腹感、眠気…その他すべての身体の感覚機能が、その動きを止めていたような気がした。


いつか、もし犯人に会う事があったら

あたしの手で両親の敵討ちしてやりたいと思っていた。

でもそんなの不可能だ。犯人はとうの昔に捕まっていて、あたしの手の届かない場所で生きている…そう思って諦めていた。

なのにこれはどうして?

両親があたしに彼を殺せって仕組んだの?

神様のイタズラ?
それとも運命?

夢だった事を実行すればいいのに、あたしはずっと躊躇っていた…