ふと彼が言った名前を、あたしは覚えていた。
彼の本当の名前と同じ名前を…あの時、彼は口にしていた。
あたしはその名前にどんな意味があるのか──今もわかってないのかもしれないけど
忘れられなかった。
「凛!!」
名前を呼ばれて、あたしは声のする方をチラッとだけ見た。
人混みをかき分けて、いつの間にかはぐれてしまっていたサラがあたしを見つけて走り寄ってきた。
「よかった…無事で。怪我はないわね?」
あたしは頷いた。
「ねぇ、トーキは?」
あたしは'知らない'って意味で、頭を横に振った。
「…そう。立てる?向こうで手当してもらおう」
そう言ってサラの支えで立ち上がり、歩き出した。でも、あたしはずっと泣きじゃくり
ちっとも前に進まない
そのうち激しく吐き気がしてきて、あたしは吐いた。
「ゲホッ…ゲホッ」
「凛!?大丈夫?!」
サラが背中をさすって声をかけてくれてたけど、あたしには聞こえなかった。
今は自分の声だけが頭に響いてる。
自分への問いかけ
両親への問いかけ
ねぇ パパ?
ねぇ ママ?
あたし犯人を殺したい程憎んでいたの。
多分、今も思ってる
どうすれば藤紀を殺せる?
彼の本当の名前と同じ名前を…あの時、彼は口にしていた。
あたしはその名前にどんな意味があるのか──今もわかってないのかもしれないけど
忘れられなかった。
「凛!!」
名前を呼ばれて、あたしは声のする方をチラッとだけ見た。
人混みをかき分けて、いつの間にかはぐれてしまっていたサラがあたしを見つけて走り寄ってきた。
「よかった…無事で。怪我はないわね?」
あたしは頷いた。
「ねぇ、トーキは?」
あたしは'知らない'って意味で、頭を横に振った。
「…そう。立てる?向こうで手当してもらおう」
そう言ってサラの支えで立ち上がり、歩き出した。でも、あたしはずっと泣きじゃくり
ちっとも前に進まない
そのうち激しく吐き気がしてきて、あたしは吐いた。
「ゲホッ…ゲホッ」
「凛!?大丈夫?!」
サラが背中をさすって声をかけてくれてたけど、あたしには聞こえなかった。
今は自分の声だけが頭に響いてる。
自分への問いかけ
両親への問いかけ
ねぇ パパ?
ねぇ ママ?
あたし犯人を殺したい程憎んでいたの。
多分、今も思ってる
どうすれば藤紀を殺せる?